罰する事だけではなくならない

罰する事だけではなくならない

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なくならない薬物犯罪




薬物犯罪のうち覚せい剤取締法で逮捕された人の再犯率は6割を超えており、50歳代では84%というデータがあり、これは刑務所で刑期を過ごすだけでは、薬物依存から抜け出せないという事が明らかだと言えます。


薬物依存では、薬物の作用によって脳内で分泌される
ドーパミンによる快楽が忘れられない
事や、犯罪を犯した人は社会から排除され
自分の居場所がなくなる孤独感
から現実逃避したい心理から再び薬物に手を出してしまうという背景が更生の難しさになっています。


社会から孤立してしまうと、仕事や遊びで気を紛らわすチャンスもなくなり薬物の誘惑ばかりが大きく迫ってくる日常を送らなければならない環境になります。


薬物犯罪者に刑罰を科すことは一定の効果はありますが、依存症の人が再び薬物に手を出すのは、刑務所から出た直後で、安堵感から来る油断がそうさせているのだと思います。



逆転の発想




2001年、ポルトガルで政策としておこなわれたものでは
  • 今まで違法だった薬物を非犯罪化
  • 少量の薬物所持を認める
というもので、薬物使用や所持で逮捕はされますが、刑罰を科す代わりにソーシャルワーカーが
  • 困っている事の相談
  • 依存症回復プログラムの提供
  • 就労支援
などの取り組みが行われ、さらに薬物使用者を雇用した会社には就労支援金が支給されたり、自分で仕事を始める人には少額融資の制度も行いました。


このような対策を10年続けた結果
  • 薬物乱用による死者の減少
  • 注射の回し打ちによる感染症の減少
  • 治療に参加する人が増えた
  • 10代の若者で薬物使用経験数の減少
など、罰則を緩めた事によってかえって良い方向に向かっていくことがわかりました。


薬物犯罪者を刑務所に入れると社会との分断が生まれ、犯罪を繰り返せばなおさらその傾向は強まってゆき孤立感を深めてしまう結果になります。


ポルトガルの政策では、薬物犯罪者の社会や人とのつながりを維持する事で犯罪の抑止や防止に役立っていると考えられます。



日本での取り組み



これまで日本では薬物犯罪は罰則を中心とした取り組みでしたが、最近では一部の医療機関等でプログラムが行われるようになり、さらに昨年の6月からは刑期を短縮して保護観察の元で地域でプログラムを受けるという取り組みも行われ、その効果について検証している所です。


ポルトガルの様に薬物犯罪者を孤立させることなく社会で支えてゆくという流れが出来上がればと思います。
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