心をつかむ5つのステップ

心をつかむ5つのステップ

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ケアの前後も大切です



寝たきりの人の介護をする場合に、ケアの前と後のかかわり方も非常に大事になってきます。


例えば、相手の目を見ることが大切と聞いたので、目の前に近づいたら、頬を叩かれたという事例があり、その原因として重要な手順を踏んでいないことが多くあります。


日常生活において、人の家を訪ねる時にいきなりドアを開けて中に入るという事は行いません。


これをケアを行う時に置き換えて考えてみると、いきなり他人が家に入って来るのと同じですので
5つのステップ
で段階を踏んだ行動が必要となります。



5つのステップ



5つのステップとは
  • 出会いの準備
  • ケアの準備
  • 知覚の連結
  • 感情の固定
  • 再開の約束
というものです。


介護において「知覚の連結」ばかりがケアであると思われがちですが、その前後に2つずつのステップを行うことがとても重要になってきます。


出会いの準備
出会いの準備とは、会いに来た事を伝えるもので、部屋に入る前やケアを始める前に
  • 3回ノックをする
  • 3秒待つ
ようにして、反応が無い時には同じ事を繰り返し、3回目でも返事が無い時には、もう一度ノックをして部屋に入ります。


相手が寝ている時には、枕元でもう一度同じようにノックをして、寝ている人に遠くから時間をかけてこちらの存在を知らせ、こうすることによって目を覚ます時に驚かせないようにできます。


ノックの代わりに声をかけるという方法も考えられますが、人の声よりもノックの音の方が、聴力が衰えた人にも聞こえやすいのです。


またドアの無い部屋などでノックをする場合は紙コップの裏側を叩いて音を出す方法も有効です。


ケアの準備
ケアの準備とは
これから行う介護の同意を得る
というもので、体を拭く時や食事の介助、着替えなどこれから行う行為を相手に伝え、その時にも「今日は暖かいので汗をかきましたね、さっぱりしましょうか」という行動のきっかけを伝えながら入浴に誘うというテクニックです。


介護現場においては、着替えやお風呂で相手がその気になってくれないこともあり、ケアを強要してしまう事もありますが、
3分待つ
様にして、それでも相手が同意をしてくれない時にはいったん諦めることも必要です。


多くの場合、今の記憶は少し時間を取ると忘れてしまうので30分程度時間を空けてからケアを再開すると良いでしょう。


ケアを無理強いすると、そのケアは【嫌で辛い事】として受け止められ、次からどんどん難しくなってゆきます。


ここで・薬をのむ・食事を摂るなどの
必要なケアも先延ばしにして良いのか?
という疑問もわいてきますが、ケアを無理矢理行って相手との関係を悪化させてしまうと他のケアも受け付けてくれなくなってしまい元も子もなくなってしまいますので、薬や食事も1回くらいなら飛ばしてもしょうがない、という気持ちで取り組むことも時には必要な方法です。



知覚の連結
知覚の連結はケアを行う場面を指し
  • 見る
  • 聞こえる
  • 触る
行為で、見ているもの、話している内容、ケアの状態が一致していることが重要になってきます。


例えば「気持ちいいですね」と言いながら、相手が恐怖を感じる【腕をつかむ】という行為は一致した行動ではなく、視覚、聴覚、触覚すべてが同じように感じられるように考えながらケアを行うことが大切です。


感情の固定
感情の固定とは、今行ったケアが心地よいものだったという思いを持ってもらうようにし、次回からのケアをやりやすくするという技術です。


シャワーが終わった後などに「気持ちよかったですね」「さっぱりしてきれいになりましたね」など良い感情を持ってもらうような言葉と共に、見る、触る行為も同時に行う工夫もしてみます。


再開の約束
再開の約束とは、ケアが終わった時に「また来ますね」と言ってから部屋を出ると、次に来た時には「待ってたよ」という良い反応が返ってくることが良くあります。


人と約束をすることは社会とのつながりを取り戻し、その人の存在を認めることにもなり、生きている張り合いや実感を感じてもらえることにつながってゆきます。
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