認知症になった時には?

認知症になった時には?

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認知症でも一人暮らし



患者さんが認知症になった場合には、在宅での生活は送れるのでしょうか。


高齢で心不全のある患者さんは、認知症で要介護度2の認定を受けグループホームに入りましたが、暴れるなどで施設から退去を求められ在宅ケアを受けることになりました。


その患者さんが自宅で暮らすようになると、暴れる事もなくニコニコ穏やかになり、認知症の高齢者の場合には住み慣れた環境がいかに大切であるかがよくわかります。


火事の問題
認知症のある高齢者が一人暮らしをする場合には火事が心配ですので、オール電化に変えて、やがて自炊も不可能になることから料理も宅配になってゆき、最終的には火を止めるというのも選択肢としてあると思います。


医療の問題
1日3回のヘルパー訪問と、訪問看護は1ヶ月に1回、具合の悪い時はいつでも電話一本で看護師が駆けつける24時間電話対応という体制を取りました。


徘徊の問題
認知症の人にとって徘徊とは楽しい散歩の事で、危惧されるのは
  • 事故
  • 行方不明
ですので、ご家族の判断としてカギをかけて、在宅ケアのスタッフがカギを預かって見守るというサポートを行いました。



自宅での転倒や事故



認知症の人が一人暮らしで在宅ケアを受ける場合には、誰もいない時間帯に転倒など大怪我をする心配もあります。


しかし、長い間在宅ケアを行っている間で骨折などの大怪我になったのは数件しかなく、これは住み慣れた自宅では家具や壁、柱などの位置がわかっていますので、たとえ転んでも体を支えながら上手に転んで行けるので、大きな怪我にならないと思います。


認知症の人は新しい事は覚えられず、本人のためにと思って家具などの配置転換をするとかえって混乱しますので、今までと同じ環境に保つ事はとても大切なのです。


また塗り薬などの誤飲も心配されますが、口にしてマズイ物はわかりますので、大きな問題が起こる物以外は自然のままにしておき、おおらかな気持ちで見守るという心構えも必要です。



生まれて、生きて、死んでゆく



人間は
  • 産まれる
  • 寝た状態で世話を受ける
  • はいはい
  • よちよち歩き
  • 飛んだり跳ねたり
という風に成長してゆきますが、老いると
  • よちよち歩き
  • はいずり
  • 寝たきり
と、赤ちゃんとは逆の道を辿ってやがて死を迎えます。


認知症の人でも
「はいずり」
の期間があるからこそ穏やかに過ごす事ができ、今まで歩けていた人がいきなり寝たきりになると様々な問題が起こってきます。


自宅であれば「はいずり」で歩いていても施設や病院の様に問題になることは無く、その人らしく最期の時間を過ごせる良い環境であると言えます。


一人暮らしの認知症の親がいる場合には家族はとても心配する所です。


親の介護を家族だけで支えるとなると負担が大きく、それ故施設のお世話になるという考えが出てきますが、認知症の高齢者の場合には、本人が希望すれば住み慣れた環境こそが一番で、家族の遠くからの見守りと専門家との連携によるサポートが、患者さんの穏やかな最期を迎えるコツになると思います。
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