iPS細胞と新薬

iPS細胞と新薬

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これまでとは違った治療法



遺伝性の病気では、今までは類似した細胞や動物実験などで治療法を探すという方法が行われてきましたが、実験で成功しても実際の人間でうまくいくかどうかは不確実で、新たな病気の発生も考えられます。


そこでiPS細胞を使い実際の患者さんの皮膚などの細胞から神経細胞を作れば、同じ遺伝子を持つ細胞で薬の効果を確かめる事ができますので、より効果的な治療成果が期待できます。


現在、軟骨や骨の病気でiPS細胞の技術によって効果のある薬を調べた結果
高コレステロール結晶の薬
が効く事がわかり、この薬で発症を抑えられるのではないかと考えられています。


この例の様に、新薬ではなく既に使われている薬が使える事がわかると、新薬承認を待つ事もなく、今まで使われてきた分、安全性、副作用などもわかるメリットがあります。





遺伝子の修復も可能に!



血液を作る造血幹細胞の遺伝子に異常があると【貧血】の症状が出ますが、そのような患者さんの皮膚の細胞からiPS細胞を作り、異常な遺伝子を修復する技術が確率されつつあります。


修復したiPS細胞から造血幹細胞を作ってやれば
拒絶反応が起こらない臓器移植
が実現でき病状も回復させる事が可能です。


現段階では、実験レベルでほぼ可能になってきています。



ガンの治療にも



私たちは免疫を持っていますが【ガン】に対してもある程度免疫反応が起こる事が確認されています。


しかしガン患者ではガンに対する免疫反応があまり起こらず、そのような人には
ガン免疫
を元気にすれば、ガンに効果がある!という事がわかっており、そのような治療は以前からあるのですが、なかなか上手くいきませんでした。


そこでiPS細胞を使う方法として、患者さん本人が持っている
ガンを叩くリンパ球(T細胞)
からiPS細胞を作り、リンパ球の数を桁違いに増やした後患者さんの体に戻すという治療法があり、現在動物実験ではうまく行きつつある段階で、今後期待が持てる治療法と考えられています。





パーキンソン病の場合



パーキンソン病のうち、数は少ないのですが遺伝性のパーキンソン病では、iPS技術を使って、効果のある薬のテストが可能です。


この場合も既存の薬が使える事が確認できれば、すぐに治療に用いる事ができます。


また遺伝性のパーキンソン病に効果のある薬は、遺伝性で無いパーキンソン病にも効果が期待できる部分もあります。
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03 iPS細胞と新薬関連エントリー

01 iPS細胞とは
iPS細胞のガン化を食い止める研究や、3Dプリンターなど分野を超えた技術で作られるiPS細胞の未来について
02 iPS細胞が作り出す臓器
現在iPS細胞を使った臓器再生医療はここまで進んでいます。
04 iPS細胞が解明する病気のメカニズム
iPS細胞で遺伝性の病気の解明やガンの発生原因、そして効果的な薬を調べる課題とは
05 iPS細胞と倫理
豚に人間の腎臓を作らせて移植させる時には倫理問題は無い!?医療技術革新で考えなければならない倫理とは!