iPS細胞が解明する病気のメカニズム

iPS細胞が解明する病気のメカニズム

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iPS細胞で病気が再現できない?



遺伝性の病気を持つ人の場合には、その患者さんの皮膚の細胞にも病気の原因である遺伝子があり、その皮膚からiPS細胞を作り出し、神経や血液などを作ってやれば、体の外で病気を再現することが可能です。


白血病では、いくつかの遺伝子の異常が病気を引き起こしますが、この白血病細胞からiPS細胞を作り、もう一度血液の細胞を作るという実験をしてみると、同じ遺伝子を持っているにもかかわらず、異常な細胞の増加は見られない事もあります。


iPS細胞で作り出した白血病の血液では
  • 遺伝子の異常があり白血病になる細胞
  • 遺伝子の異常があり白血病にならない細胞
があり、これらを比較することで、白血病になるメカニズムや白血病を抑える薬の発見にもつながります。


この実験からガンや白血病は遺伝子や染色体の異常で発生するのですが、病気になる原因遺伝子だけでは無いという事がわかります。


染色体や遺伝子の異常は薬で治す事は出来ませんが、それ以外の要素は薬を使って変える事は可能で、病気の細胞をiPS細胞でもう一度作る事で、その病気に効く薬の開発にも役に立つのではないかと考えられています。



今後の課題とは



iPS細胞を経て作った細胞は、100%元の細胞を再現しているとは言えません。


これはガンにかぎらず遺伝子の病気である場合にも言える事で、実験レベルで効果の確認できた薬も、実際の患者さんには効かないという可能性もあり、治療成果を上げるには、多くの臨床研究が必要になってきます。


同じことは臓器再生にも言え、iPS細胞で作った神経細胞を患者さんに移植した場合に
元通りに再現した細胞を移植するのが望ましいのか?
という事は昔から議論されてきた問題でもあります。


現在の再生医学の主流は
「全く元通りの細胞では無くとも機能に問題がなければ良いのではないか」
という風に考える人が多く、そもそもiPS細胞の技術がなければ、やりたくても出来ない話だったのです。
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04 iPS細胞が解明する病気のメカニズム関連エントリー

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02 iPS細胞が作り出す臓器
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03 iPS細胞と新薬
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05 iPS細胞と倫理
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