段階的に発達する乳幼児の心

段階的に発達する乳幼児の心

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※このシリーズでは、母親=養育者のコトで、育児に関わる父親、祖父母などの養育者を指します。

未熟な状態で産まれて来る赤ちゃん



高等な哺乳類は胎児が体内で過ごす期間が長く、かなり成熟した状態で産まれてきて、牛や馬などは産まれてすぐに歩きはじめ、サルやチンパンジーも同様です。


しかし、人間の赤ちゃんと他の動物に比べて早産の状態で産まれてくる事が知られています。


その理由は脳の発達にあり、もし他の動物同様脳が発達した状態で生まれてくると、頭が大きくなりすぎ出産が困難となるのです。


人間の赤ちゃんは産後1年間は本来的には子宮内で過ごすはずの時期と考えられています。


成人の状態になるのに
  • サルは6年5ヶ月
  • ゴリラは7年
で成長を完了しますが
人間は20年
という長い時間をかけて大人になってゆき、心も同じように長い時間をかけて成長してゆくのが人間の特徴です。



大切な成長の過程を理論的に解明すると・・・



マーラーという精神分析家が子供の心の発達を理論化しており、子供は以下の過程を追って大きくなってゆきます。


自閉期
 - 生まれた直後から生後1ヶ月の状態で、この時期の赤ちゃんは一日の半分を寝て、半分はウトウトとしている風で、まだ胎児と同じような状態です。


共生期
 - 生後2ヶ月から半年では、ぼんやりと周囲の物を認識し、母親と一体化しているように行動します。

しかし他の研究では、もっと早い時期から周囲を認識し、働きかけを行う!というものもあります。


分離固体期
 - 5ヶ月頃から3歳くらいまでの時期を指します。
最初の段階では母親によじ登ったり顔を触ったりして母親を探索するような行動をとり、母親とそれ意外の認識を持ち「人見知り」なども見られるようになります。


1歳くらいになると、親から離れ自分の世界の探索へと進んで行くようになりますが、すぐに母親の元に戻り心理的なエネルギーの補給を受けると、再び世界の探索へと向かいます。


1歳半では、自分と母親は別人格であると認識し、母親から離れようとしますが、離れることによって不安になり母親にしがみつくなど、母子関係が一時的に不安定になります。


3歳くらいになると、母親とはなれていても「良いお母さんのイメージ」を心の中に持っていられる事ができて、ある程度お母さんが見えなくても子供は耐える事が出来るようになります。


成長の段階でこのような過程を追うことで安定した精神が育まれ、社会で生きてゆけるようになるのです。



うちの子は人と違うのはなぜ?



国や地域、人によっても考え方や性格が大きく異っているのが当たり前で、人間の発達にはとても柔軟性があります。


例えば言語などは子供の時期の方が習得が容易なのは良く知られていますが、大人になっても学習することで話すことが出来るようになるなど、人間は幅広い能力を身につけていると言えます。


言語の習得などから言えるのは
心の成長は子供の時期に決まるのではなく、後からの修正も出来る
という事で、一番適した時期を逃しても、後天的な要素で良くも悪くもなってゆきます。


もし育児書に書かれている内容と、自分の子供の成長が違っているからといっても、全く心配することは無いのです。
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01 段階的に発達する乳幼児の心関連エントリー

02 赤ちゃんの微笑みの意味
産まれてすぐに赤ちゃんは微笑みますが、産後すぐと3週目、5週目ではその意味はちがっているのです。
03 愛着行動とこころの形成
共働きの家庭の子供は不幸なの?子育てで大切なコトとは?
04 子供の気質
人によって性格が違う様に、赤ちゃんの時代からもそれぞれ性格が違っているのです。
05 子供どうしの仲間関係
幼児から大人になるまでに経験する友だちとの関係と、そこに隠された成長の秘密について