慢性化した痛みの考え方

慢性化した痛みの考え方

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慢性痛はなぜ治らない



病気や火傷、怪我など外部からの刺激で発生するのが
急性痛
と呼ばれる痛みで、危険を避ける本能とも言えます。


痛みの原因である病気や怪我が治っても、痛みだけが残り続けたり、時々起こるのが
慢性痛
で、日常生活に大きな支障をきたし慢性痛の治療は医療の大きなテーマにもなっています。


慢性痛は病院で診てもらっても何も異常がないので
痛みは気のせい
と言われる事がありますが「気のせい」こそ心の状態、脳の状態を反映しており
  • 社会的要因
  • ストレス
  • 不公平感
  • 医療への不信感
  • 今までの人生経験
などの要因によって、痛みを感じる回路が出来上がっている可能性があり、そこに医療的なアプローチを行う事で治療の道筋を探る研究が行われています。



慢性痛特有の脳



アメリカでは、慢性的な腰痛患者の脳の活動をMRIで継続的に記録し脳の活動状態を調べるという研究が行われており
  • 痛みが消えた人
  • 痛みが続く人
で、痛みと心の動きに関係する脳の部位の活動に違いがある事がわかってきました。


痛みが続いている人の脳では
  • 偏桃体
  • 前頭全皮質
の活動が活発になっており、他の脳との線維の太さも変化が見られ、痛みが治った患者さんでは、活動が変化しているという事もわかっています。


慢性痛を感じる脳の部位へ直接的に働きかける治療をすると、慢性痛が消えるのかどうかは、動物実験でしかわかっておらず人間ではよくわかっていません。



治った人の特徴とは



慢性痛の患者の脳をMRIで継続的に調べ、痛みが治った人では
  • 鎮痛薬を飲み続けた
  • 運動療法を行った
  • 認知行動療法を行った
  • 何もしなかった
など人によってさまざまで、結局は
良くなる人は治った
という結論に至りました。


この結果から、人それぞれ脳が感じる痛みの仕組みに合った解決法を見つけるのが慢性痛を治す方法と考えられています。


現在、慢性痛が治る方法はいくつか見つけられていますが、全ての人に効くという方法はまだ見つかっておらず、これは人それぞれ脳の状態が違うのが原因と考えられますので、今後の慢性痛の治療にはオーダーメイド治療が必要になってきます。



慢性痛を和らげる方法



治療を受けても長引く痛みで悩んでいる人は多くいます。


痛みは脳の状態や、自分の置かれている環境など様々な要因で感じ、その原因は自分の脳や心が【痛い】という感覚で知らせている状態ですので、痛み解消のためには
  • 違う治療法を試してみる
  • 生活を見直してみる
  • 自分の置かれている立場を見直す
など、他にも色々な方法を考えて実行してみる事が大切です。
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05 慢性化した痛みの考え方関連エントリー

01 痛みはどこにあるのか?
腰が痛い!ヒザが痛い!その時痛いと感じているのは腰やヒザではなく脳なのです!?
02 痛みはどのように記憶されるのか
記憶は脳の海馬というのが定説ですが、痛みの記憶は違う場所にあるようです。
03 痛みと感情
痛みと記憶は人間だけでなくハエにもあります
04 痛みを制御する仕組み
都合よく感じる痛みと、都合の悪い痛みの感じ方。慢性痛の原因について