全身を見るということ

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老年症候群とは



若いうちは、病気にかかっても回復は早いのですが、高齢者になると一つの病気にかかるとそれを引き金にして次の病気にもかかってしまうような事がよくあります。

年齢を重ねるに連れ体力は低下し、体のあちこちに不具合が出てくるようになります。

そしてやがて介護が必要になってくるようにもなります。

このように、高齢者になるほど体力の低下と複数の病気を持ってしまうという傾向にあります。

平成22年に厚生労働省が行った約29万人の国民生活基礎調査によると、一般国民の30%程の人が何らかの病気をかかえていて、これが75歳以上の後期高齢者になると50%もの人が色々な病気の症状を訴えるようになります。

このような事から老年症候群の定義として・・・

高齢者に多く見られ治療と介護を必要とする一連の身体症状やその兆候、病気など

を25年ほど前から決めて対応を図っています。



悪い所はすぐに治す!



歳をとって、体の痛みを感じた場合には積極的に治療することでその後の人生をより良く送ることにもつながります。

たとえば、食事中にむせやすくなったり、歩く時に転倒しやすくなったなどそのままにしてはいけません。

食事中にむせる事を放置しておくと、食物が肺に入り誤嚥性肺炎になったり、転倒してしまうことで骨折すると、入院して手術が必要になるという風な事になってしまいます。

食事中むせたりする事を自覚するようになったら、テレビを見ながら食事するような「【ながら食事】などは止めましょう。

また日頃から声をしっかり出して人とよく話すなど『喉を鍛える』ような生活を送ることにも大切です。

転倒しやすいと感じる人などは、天気が悪く足元が悪い時には外出を避けたり、足元が不安定になる履物は使わないなどに注意を払い、普段から足腰を強くするような運動をする様にしましょう。



自覚できない衰え



衰えというものは、急に自覚できるというものではありません。

1年間に1〜2%程度身体能力は低下して行き、30歳代の人に比べ、70歳や80歳では、足の筋力や肺で酸素を取り入れる力が実に70%も低下してしまいます。

人の体には予備能力が備わっていますので、70%機能が低下していても通常の生活では支障をきたすような事はあまり感じません。

しかし、階段を登ったり、長い時間歩くなど負荷がかかるようになると、すぐに疲れ体を動かしたり外出することがおっくうになります。



周囲の注意



体の衰えは本人はあまり自覚できないので、家族や周囲が気づく事も多く、入院している患者さんの変化も、家族が症状に気づき、的確な治療につながるという場合も多々あります。

若い人の肺炎などは、光熱が出てすぐに原因が特定できますが、高齢者の肺炎は、元気が無いとか歩き方がおかしい、意識がはっきりしないなどの症状が出てきた後に重篤な肺炎が見つかる場合もあります。

周囲の人は普段から高齢者の変化に気を配っていただきたいと思います。
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