疫学とはなにか?

疫学とはなにか?

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あなたはガンになる!?



喫煙すると肺がんになる
吸わなければ予防になる
というのは誰でも知っています。


しかし、喫煙している人でも必ず肺がんになる訳では無く、逆に喫煙しない人が肺がんになることもあります。


ここで言えることは、喫煙しない人よりしている人の方が
肺がんになる確率が高い
という事で
  • ヘビースモーカーの50人に一人が肺がんになる
  • 喫煙しない人1000人に一人が肺がんになる
というデータを比較すると、
喫煙すると20倍も肺がんになりやすい
というのが疫学的な分析です。


このように、多くの事例から統計的、確率的にガンのリスクを見て
どのようにすればガンにならないか!
の原因を突き止め、それを避ける様な生活習慣を心がけることで
  • 病気になる人を減らす
  • 病気の予防に役立てる
事が疫学の目的なのです。



病気の原因がわからなくても予防できる!?



江戸時代から明治時代にかけて【脚気(かっけ)】で多くの人が命を失いました。


現在では「ビタミンB1」が欠乏すると脚気になるという事がわかっていますが当時はビタミンの存在すらわかっておらず【脚気】は恐ろしい病気でした。


当時の脚気に対する考え方は
陸軍医の森鴎外
海軍医の高木 兼寛
の二人の間で論争になった事でも有名です。



脚気を治した海軍医



海軍軍医総監の高木 兼寛(たかき かねひろ)は、ビタミンが発見される20年も前から脚気の原因は栄養の偏りにあるのでは無いか?と考えていました。


高木 兼寛は白米ばかりを半年以上食べると脚気になるという印象を持ち、脚気患者の食事を疫学的に検証してみました。


タンパク質に多く含まれる窒素と炭水化物に多く含まれる炭素を比べると
水兵は窒素1:炭素28
に対し

准士官や士官は窒素1:炭素20
という結果になり、上官の方がタンパク質の多い上等のメニューが提供されていました。


水兵に大量の脚気患者が出て、上官にはほとんど患者がいないことから、タンパク質の多い食事にすれば脚気は減るのではないか?と高木 兼寛は考えました。


ビタミンが発見されていない当時でも
麦めし
にはタンパク質が多いという事がわかっていて
白米の代わりに麦めしに変える
という妙案を思いつき、それを実行したところ
脚気を撲滅
することに成功しました。


現在では麦めしの胚芽にはビタミンB1が多く含まれている事はわかっていますが、何もわからなかった時代に経験則に基づく疫学的な手法で
脚気の治療法や予防法
に役立てる事ができたのは高木 兼寛の大きな功績だと言えます。



失敗した陸軍医



一方陸軍の軍医「森鴎外」は脚気の原因を【脚気菌】と考え、論文まで発表しています。


森鴎外が採った方法は現代医学でも幅広く用いられている病気の原因の解明法で、あくまでも
【脚気菌】が脚気を引き起こす
と考え、陸軍の兵士には白米の支給を続けました。


その結果、日清戦争における陸軍の戦死者977人に対し、
脚気で死んだ兵士は3944人
脚気患者は34783人
にも上り、戦闘より病気で命を落とす兵士が4倍も多くなってしまいました。



経験則は役に立つ!?



脚気のように病気の原因がわからなくても
  • 疫学的
  • 統計学的
な研究によって、多くの命が救われた事例に触れると経験則に基づいた民間療法の様な方法も効果があるのではないか!と思ってしまいます。


グルコサミンでヒザの痛みが治る!?
コラーゲンで若返る!?

など、健康や美容に良さそうな情報は世の中にあふれかえっています。


しかし、そのようなモノの中には疫学的、統計学的な検証が行われていない
ニセ情報
も多いのが実情です。


一方、医学者が疫学的、統計学的に長期間、手間ひまかけて行った研究に基づいて発表されている物は疫学的に正しい情報で信用することができるのです。


健康になるために、栄養補助食品や健康食品を試す時には
科学的な証明がしっかりされたモノ
を調べてから使うようにしたいものです。
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