なぜ子供の事故は減らないのか?

なぜ子供の事故は減らないのか?

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事故が減らない理由には・・・



保育所から高校までの学校の管理下で起こっている子供の事故については

毎年110-120万件

と減ること無く横ばいの状態が続いています。


また電池や異物の誤飲事故もここ20年まったく減っておらず、子供の事故に対して救急隊の出動件数も同様の事が言えます。


もし病気の発生数が20年間同じという事になれば、何も対策を講じていない事になりますが、実際には病気の原因を突き止め様々な対策や治療で病気の発生数は減っていきます。


健康被害という観点から見ると、病気も事故も同じなのですので

※原因を突き止め、対策を取る

事で子供の事故は減らす事が出来るのです。


病気は予防が大切ですが、事故も起こってから治すよりも予防に取り組んだほうが全てにおいて良い事は明らかなことです。



社会の取り組みで減った事故



事故といえば【交通事故】がおなじみですが、かつて事故発生から24時間以内の死亡者数は年間16000人を超えて【交通戦争】と言われていた時期もありました。


事故が起これば警察が事故を調べ、内容を交通事故総合分析センターに送り事故の原因を調べます。


その結果交通死亡事故の背景には【飲酒運転】があり、飲酒運転に対する罰則の強化をして飲酒運転の撲滅に取り組んだのですが、あまり減ることはありませんでした。


そこでさらに飲酒運転の罰則を強化した所、飲酒運転での死亡事故は年々減少しています。(車の安全性が上がったことも交通死亡事故減少につながっています)


また労働災害も交通事故と同じ事が言え、仕事中に起こった事故は「労働基準監督署」に届ける義務があり、その事故の分析と対策を行った結果、労働中の事故も年々減ってきています。



子供の事故は調査されていない?



交通事故や労働災害などは事故の調査分析をする行政機関がありますが、子供の事故に関して詳しいデータはありません。


子供の事故の予防には事故の原因となった製品名やその時の様子、転落事故では落ちた場所の硬さなど詳細な情報が無いと予防にはつながりません。


交通事故なら、事故の発生から対策まで「警察」という組織が一貫して対応して事故の予防に取り組みますが、子供の事故に対しては一括して対応できる機関がありません。


たとえば

遊具の事故なら文部科学省

保育所は厚生労働省

学校では文部科学省

国定公園では国土交通省

市町村の管理下では自治体や自治会

など管轄がバラバラで事故の対応を相談しても「うちの担当では無い」と門前払いされることもあります。


また製品に問題があっても「お客様苦情センター」が対応してくれ「使用説明書に書いてあります」とか「消費者の責任です」や「想定外」などという答えしか帰ってこない場合もあります。


怪我を治療する医療機関では、治療が目的ですので事故の起こった原因まではほとんど調べる事はありません。


さらに一番問題だと思われるのが、保護者が【自分の不注意によるもの】と決め付け事故の情報を伝えない事があり、こうなると事故の分析や対応はできません。



こうすれば子供の事故は減る



事故が減らない原因がわかれば、減らすための対策が取れます。

・事故が発生した環境、製品名の報告

・医療機関では事故に対する障害の状況や事故の背景を専門家に報告

・遊具や化学物質など各専門家が事故の分析をして予防策を考える

これら事故全体を一元化して見る仕組みがなければ子供の事故を減らす事はできません。



私たちができること



子供が3歳になるまでに、10人のうち7〜8人は病院にかかるような事故を経験しています。


ほどんどの保護者は「子供からは目を離さない様にしている」と言いますが、3歳未満の子供の8割は保護者がそばにいる状況で起こり、6割は保護者の見ている前で事故をおこしています。


このように目の前でも多くの事故がおこっていますので

※ウチでも事故は起こるかもしれない

という心づもりが大切ですし、育児の本や日本小児科学会でも事故の情報や対応が記載されていますので、ぜひ内容を確認して予防策を取っていただきたいと思います。


もし子供の事故がおこった場合は、保護者の不注意だと思わずに専門家に事故の情報を伝えていただく事も大切です。
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