エベレスト登頂を支えた食事

エベレスト登頂を支えた食事

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登頂後の油断



世界最高齢でエベレストの山頂に立った三浦雄一郎さんは人類の可能性を広げる偉業を成し遂げました。

エベレスト山頂では撮影の為、酸素マスクとゴーグルを取りその環境で呼吸している時間がしばらく続きました。

エベレスト登頂において高度順化を繰り返しているので30分程度は酸素をたまに吸う程度でも大丈夫なのですが、それでも酸素が薄い環境なので知らない間に体力は消耗してゆきます。



有酸素運動と無酸素運動



ウォーキングやジョギングなどは有酸素運動ですが、全力疾走や重量上げなどは無酸素運動になります。

エベレスト山頂で酸素を吸わないで居るという事は、それだけで無酸素運動と同じ状態にあり体には大きな負担がかかっています。

有酸素運動で使うエネルギー源は脂肪ですが、無酸素運動で使うエネルギー源は炭水化物で筋肉や肝臓にあるグリコーゲンが消費されてゆくのですが、筋肉や肝臓にあるグリコーゲンには限りがあります。

無酸素運動はごく短い時間しか行うことが出来ませんが、これはすぐにエネルギー切れを起こしてしまうことにその原因があります。

エベレスト山頂で酸素を吸わずに居た三浦雄一郎さんの体はグリコーゲンを消費しすぎた状態でエネルギー事態が大きく不足しており、そこから酸素を吸ったとしてもエネルギー枯渇で下山する時にはフラフラになっていました。



危険な状態



足腰に力の入らない状態は高山病の可能性があります。

高山病になると脳浮腫で【意識の混濁】が起こり、その状態にあるかどうかを判断する方法としては

・目を閉じて鼻先にタッチできるか
・まっすぐな線を歩けるか

があります。

足腰がフラフラという自覚症状を訴えた三浦雄一郎さんですが、このテストを行った所、高山病によるものでは無いという事がわかり、症状の原因は極度の疲労とエネルギーの枯渇のためだったと思われます。



エネルギーの補給



エベレストの様な過酷な環境でエネルギー切れ(バンクアウト)を起こすと命に関わるような事態になります。

すぐにエネルギー補給をしたい所ですが、8000メートルの高度で食物を食べて消化吸収するのは、そう簡単な事ではありません。

内臓を動かす為にもエネルギーと酸素が必要ですし、そもそも体が疲弊しきっている状態では食欲すらわかないのが普通です。

しかし、そのような状態で三浦雄一郎さんは自分の足で降りてくる事ができたのは、元々胃腸が丈夫で食欲も旺盛だったのが幸いしたのだと思います。

実際に高山病のテストをしている間にも、お茶を飲みながら、赤飯の他にナッツやドライフルーツ、黒砂糖など高カロリーな素材いっぱいの『三浦ケーキ』をバクバク食るほどでした。


そのような事もあり、ものの1時間ほどでまともに歩ける様にまで回復できたのは、さすがで、基本的な生命力が強い人なのだと思います。



海外登山遠征の最重要事項とは



三浦さんが海外遠征に行くときに一番大切にしている事は『食事』で遠征の都度テーマを決めており、2003年のテーマは「鍋」で、56日ほどエベレスト近辺に滞在している間、毎日違う鍋を作りました。

昆布、ホタテ貝柱、ホタルイカ、トバなどの高級食材で出しを取り、それにカレーを入れた「カレー鍋」やキムチ、味噌、塩麹などで様々な鍋が出来ます。

2013年のエベレスト遠征のテーマは『手巻き寿司』で、登山用のアルファ米にすし酢で味付けをして、缶詰の具と海苔で思っているよりも簡単に作ることができます。


極限の環境において食事、エネルギーの補給はとても重要で準備段階から気を使う事なのです。
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03 エベレスト登頂を支えた食事関連エントリー

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02 酸素を確保せよ!
エベレスト無酸素登頂など人間の限界を超える偉業の裏には、それまでの常識を覆す人間の存在能力がありました。ヒマラヤ登山をしたい人は必見の内容です。
04 天上のお茶会
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05 人を冒険に駆り立てるもの
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