天上のお茶会

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エベレストでお茶会?



世界最高齢で登頂を果たした三浦雄一郎さんの登山隊は、エベレスト登山中において2回も「お茶会」を行いました。

今までの海外遠征においても、食事のテーマに「鍋」「手巻き寿司」などをやったのですが、常識的には疑問に思っていてもそれなりに栄養学的には理にかなっているものでした。

しかし、わざわざ「お茶をたてる」ための道具を持って行くのは荷物にもなり、さらに茶道の作法も知らないのに「お茶会をやる」など一見無駄なようにも思え、言い出した三浦雄一郎さんに豪太さんは「なんで?」という思いを持ったそうです。

そのような中、今回のエベレスト遠征支援隊の中にお茶の心得のある人がおり、その人のレクチャーを受け、うる覚えながら8000メートルの高所でお茶会が行われました。



高度8000メートルのお茶会



エベレスト登頂中の8000メートルの段階で次のキャンプまでに少し時間的な余裕もあり、お茶会をやろう!という事になりました。

茶道の一連の作法でいただくお茶はとても美味しく、またお茶をたてる動作でものすごく落ち着くこともできました。

標高8000メートルと言えば【デスゾーン】と呼ばれ、普通なら死の雰囲気を間近に感じる場所なのですが「お茶会」をやっているテントの中だけは全く次元の違う空間の存在を感じることができ、それまでの殺気立った雰囲気から、穏やかな気持ちになっている事が実感できました。

お茶会をやるまでは、お茶会などは全く無駄で途中でお茶の道具などは置いてゆくと決めていましたが、この体験により8500メートルまで茶道具を持っていく事にしました。


そして8500メートルのキャンプでも、酸素を吸いながら一連の作法でお茶をたて、凛としながらも穏やかな空間に身をおく事ができ、その後の行動における精神的な余裕にもつながったと思います。

お茶にはビタミンやカテキンなど体に良い成分が含まれていますが、栄養以外の素晴らしい効能があります。

デスゾーンという極限の状態で、焦りや気が立つ状態でいると判断ミスにもつながりかねず、お茶をたてた事で平常心で物事に望めたのだと思います。



お茶というもの



戦国時代に千利休が広めた「お茶」ですが、茶室に入る時には武器は外しわざわざ狭い入り口から入らなければなりません。

同じ様にエベレスト山頂付近でテントに入るときも、ピッケルやアイゼンなどはテントの外に置き、身を低くして中に入る行為は茶室に入る時と非常によく似ています。

テントの中で中心に位置するのはお湯で、もしお湯をこぼせばすぐに氷になりその後の処理は大変なことになります。

何人かの人が狭いテントの中でお湯を沸かすには、お互いに気を使いながら行動しなければなりません。

わざわざ狭い茶室で、決まった作法で行うお茶は「和」の心「以心伝心」というものを頭ではなく体で覚えるものなのかもしれません。
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