細胞分裂スピードを変える試み

細胞分裂スピードを変える試み

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なぜガン幹細胞に抗がん剤が効かない!?



ガン幹細胞に抗がん剤が効かない理由として
細胞分裂のスピードが遅い
事があり、血液のガンや小児のガンに見られるガン幹細胞は非常にゆっくりとしか細胞分裂をしません。


細胞は細胞分裂の時に一番不安定な状態になり、その時こそが抗がん剤や放射線が効果を発揮するのです。


このため
細胞分裂を活発に繰り返す小児の普通のガン細胞
には抗がん剤や放射線は非常によく効きますが、ガン幹細胞に対しては非常に効きにくく、そこが治療のネックになっているところです。



積極的に細胞分裂をさせる



細胞分裂のタイミングで抗がん剤や放射線治療を行えば効果が上が事はわかっており、分裂の遅いガン幹細胞も細胞分裂のスピードが早くなる様にしてやれば、治療の効果も期待できます。


そこで、九州大学の中山 敬一 教授のグループは、ガン幹細胞の細胞分裂を活発にさせる方法を研究しています。


中山 敬一 教授は
細胞分裂を遅くするタンパク質
の研究を行っており、ガン幹細胞で細胞分裂が遅いのはそのタンパク質の働きによるものだということを解明しました。


もし、細胞分裂を遅くするタンパク質をガン幹細胞から取り除く事ができれば、治療にも希望が持てます。



果たしてガン幹細胞は叩けたのか?



実験では、遺伝子を操作して細胞分裂を遅くするタンパク質が作れなくなるようなマウスで白血病を発生させました。


そのマウスに抗がん剤をつかったところ
非常に良く効きほとんどのガンを叩く
ことが出来ました。


この実験は、ガン治療に関わる世界中の医師や研究者からの注目を集め
ガン幹細胞治療に一つの答えが出た
素晴らしい研究成果でした。



治療のリスクと新薬の開発について



治療のためガン幹細胞の分裂するスピードを一時的に早くすると、他のガン細胞の分裂のスピードも早くなります。


もし、分裂スピードを早めたガン細胞に抗がん剤が効かなくなった時にはがんの進行を早めてしまうというリスクもあります。


現在は遺伝子操作で細胞分裂のスピードを制御していますが、将来的には同じことが薬で出来るように研究開発をしなければなりません。


遺伝子操作と同じ効果のある薬の開発は、様々な構造の薬を作ってゆく中で実現ができるとおもいます。



新たな希望



ガンは発生の段階で様々な性質をもっていますので、治療も放射線や抗がん剤の他に、いろいろな角度からアプローチする必要があります。


その中でも
細胞分裂のスピードを早める
方法の発見は、今までの治療が通用しなかったガン幹細胞治療に一筋の光がさしたと言えます。
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