ガンの棲む環境を変える試み

ガンの棲む環境を変える試み

スポンサードリンク

ガン幹細胞が好む環境とは



ガン幹細胞は植物の『種』のような性質を持っており、ガン細胞の根や枝葉を伸ばすためには周囲の環境が整う必要があります。


前立腺がんや乳がんなどは
好んで骨に転移する
という不思議な性質があり、このタイプのガンは骨の環境が好ましいと言え、ガンの種類ごとに好む環境がある事がわかってきました。


ガンを予防したり治療のためには
ガン幹細胞の嫌う環境
を整えてやれば良いことになります。


具体的にガン幹細胞が好まない環境にするには、薬を使ったり特定の細胞をガン幹細胞の周囲に送り込み環境を変える方法が考えられています。



IPS細胞を使った研究



IPS細胞技術の応用で
ガン幹細胞の性質そのものを変化させる
研究も行われています。


IPS細胞は正常の分化した細胞に4つの遺伝子を導入することによって、細胞の初期段階に戻すことが出来る技術で、この技術をガン細胞に使う研究が世界中で行われています。


ガン細胞をIPS技術でガン細胞になる前に戻してやると
正常な細胞に変化する
ことが確認されています。

ガン幹細胞も同じ方法で、正常な細胞に戻す事ができれば
ガンそのものをなくすことが出来る!
という説を元に研究がおこなわれているのです。



簡単な方法でガン幹細胞の数を知る



他の研究として
  • ガン幹細胞はガン細胞の中でどれくらいの比率で存在しているのか
  • 治療を行った時にガン幹細胞がどれくらい残っているか
を世界中の研究者が行っています。


これは、がんの細胞から遺伝子やタンパク質を分析することでガン幹細胞がどれくらいあるかを調べるもので、実際の検査は手術や内視鏡を使ってガンの組織を切り取らなければならず、患者さんへの負担も大きく検査ができる回数も制限されます。


しかし、血液や体液などでガン幹細胞の数がわかる方法が確立されれば、薬の効果や患者さんの状態を正確に把握する事ができるので治療の効果も上がると思います。



今後の期待



ガン幹細胞の発見により、ガンは一様な細胞では無いという事がわかり、抗がん剤や放射線でガンが小さくなっても、その中にガン幹細胞が残っていれば十分な治療成果が得られないという事がわかってきました。


婦人科で行われている治療では
  1. 抗がん剤で腫瘍を小さくしてから
  2. 手術で全摘
すればガンが根治できるという事がわかっており、この治療は普通のがん細胞とガン幹細胞の両方を治療できる方法だと確認されています。


乳がんや子宮がんなど婦人科のガンの場合は、摘出しても命に関わる臓器では無いので効果が大きくなります。


ガン幹細胞の研究が進んできた事によって
  • ガンの転移のメカニズム
  • ガン再発のメカニズム
がかなり解明され、今後のガン転移や再発を防ぐ治療には欠かせない物になってきます。
スポンサードリンク

05 ガンの棲む環境を変える試み関連エントリー

01 がん幹細胞とは何か!?
ガン細胞の中には増殖と転移を繰り返す悪い細胞がある事がわかってきました。それこそがガン幹細胞という細胞で、ガン予防やガンの根治はガン幹細胞がカギを握っています。
02 がん幹細胞なぜ手強いのか
ガン幹細胞は、普通のガン治療をしても歯がたちません。その理由とは・・・
03 細胞分裂スピードを変える試み
ガン幹細胞は細胞分裂が遅いゆえに治療が困難なのですが、治療効果が上がる画期的な方法が実験段階で成功し、実用化の期待が高まっています。
04 兵糧攻めにする試み
ガン幹細胞を叩く方法として、今まで使われてきた薬が使える事がわかってきました。遺伝子操作や新薬など新しい方法よりもリスクが少なく、すでに臨床試験も行われており、実用化間近の治療法として期待されています!