兵糧攻めにする試み

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ガン幹細胞を兵糧攻めにする?



ガン幹細胞は
炎症やストレスに対してとても強く
発生した毒を解毒する高い能力を有しています。


ガン幹細胞は解毒する分子を大量に細胞の中で作っている事が明らかになっており、細胞の中のみならず細胞の外にも解毒物質を出して、ストレスや炎症などの毒の他、抗がん剤や放射線から自身を守っています。


そこで、ガン幹細胞の解毒する分子を働かなくする研究が行われています。



解毒のメカニズム



ガン幹細胞の表面にはポンプがあり、そのポンプから特定のアミノ酸を取り込んで細胞の中で解毒分子を作っています。


このポンプを薬剤を使って機能できないようにすれば
解毒分子が作れない
のでガン幹細胞は普通の細胞と同じようになり、放射線や抗がん剤治療が効く様になります。


細胞のポンプにフタをするような薬剤を探しつづける研究で、意外にも30年ほど前から
リウマチや潰瘍性大腸炎に使われている薬
に効果がある事がわかりました。


この薬を胃がんや大腸がん、口腔がんを再現したマウスで使ったところ
非常にキレイにガン幹細胞を叩いてくれる
事が実証されました。


既存の薬は長い間使われていますので副作用がどのようなものかわかっており、新しい薬を使うよりも安心して使えるのは大きなメリットになります。



臨床試験の結果



昨年胃がんの患者さんで
この薬のみを使う臨床試験
では、11例のうち4例の患者さんのガン幹細胞が減少している事が確認されました。


この臨床試験はガン幹細胞治療の最初の段階と言え、どれくらいの量を投与すればよいのかを知る成果につながっています。


さらに来年からは肺がんの患者さんで次の段階の臨床試験が行われる予定で、
  • 普通のガン細胞に効く抗がん剤と
  • リウマチ、潰瘍性大腸炎の薬を組み合わせて投与
することで、ガン全体を小さくすることが出来るかを見ます。


この臨床試験において
  • 薬を組み合わせて使った時の安全性や効果
  • さらに再発するまでの時間が長くなるか
を調べ、その結果が得られるには3年程度かかると思われます。



今後の課題



リウマチ、潰瘍性大腸炎の治療薬はガン幹細胞のために開発された薬ではありませんので、効果を発揮するには大量に飲まなければならず、より少ない量の薬でガン幹細胞のポンプに栓をする効率のよい薬の開発が必要になってきます。


また正常な細胞にもポンプがあり、ガン幹細胞のポンプを制限する薬で正常な細胞まで影響が出ることのないような薬の開発も必要です。


この薬でガン幹細胞を叩くのは、まだまだ開発中の治療ですので
素人が勝手にガンの治療のためにリウマチ、潰瘍性大腸炎の薬を飲む
は絶対に行ってはなりません。
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