うつ病と認知症が重なった場合

うつ病と認知症が重なった場合

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重なった症状



うつ病でも認知症でも共通の症状があり、今出ている症状の原因がうつ病なのか認知症なのかを判断することは無理と考えられます。

高齢者では認知症状が目立つので、おのずと治療も認知症がメインになっています。

しかし、もしうつ病が同時に発症しているとすると認知症の治療だけでは症状の改善は見込めません。


改善した例



実際に認知症とうつ病を同時に発症した80歳後半の女性の場合は、すでに10年以上前に認知症と診断されていて、物忘れなど認知症状も見られるような状態でした。

日常生活においては家族や介護保険を使った介護ヘルパーなどがお世話をしていました。

その女性は、最近誰かに財産を狙われているという新たな認知症状を見せ、自室に閉じこもり始めました。

それとともに、頑固な便秘を訴え食事も摂らないようになってきて、自宅での介護は不可能になってきたので、家族は施設に入れる相談をケアマネジャーとしているような状態で、施設に入る前に精神科の診断を受けてみたいという事で受診されました。

患者さんは高齢者であることと、体力が落ちている状態であったので精査入院をしていただくことになり、あらためて認知症の検査と体の検査をした結果、うつ気分による行動障害が出ていると判断しました。

入院は少し長引き、少量の抗うつ薬を何度か変えながら治療を進め、患者さんに合う抗うつ薬の効果によって食欲が改善されてゆきました。

食欲の改善に伴い体重も増え、さらに物を盗られるという訴えもなくなって、施設に入ることなく自宅に戻ることができました。



高齢者の最新うつ病治療



【誰かに見られている】とか【物を盗られる】などはうつ病の症状には見えませんが、高齢者のうつ病にはこのような妄想を訴える事があります。

原因がうつ病である場合には、抗うつ薬によって症状が改善することになりますが、高齢者の場合に、うつ病なのか認知症なのか判断は難しく、抗うつ薬が認知症を悪化させるという側面ももっていて、特に古い抗うつ薬にはその傾向が強く意識障害が出る場合もあります。

しかし、最近になって出てきた抗うつ薬の新薬は副作用も少なく高齢者や超高齢者でも専門医の診断によって病気の治療が可能になってきました。

高齢者や超高齢者のうつ病治療には何よりも専門医による正しい診断と治療方針が必要になります。

認知症だったと思っていた症状が実はうつ病で、それが治療によって改善することで、患者さんは自宅で過ごすことができ家族にとっても幸せな結果が得られます。
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04 うつ病と認知症が重なった場合関連エントリー

01 高齢者のうつ病とは
高齢者の病気のウラにはうつ病が隠れている事が多々あります。80歳の人でもうつ病の治療をすることで体の不調を治すこともでき、よりよい人生を送ることができます。
02 高齢者のうつ病の特徴
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03 治療について
高齢者うつ病の治療は、若い人のうつ病とは大きく違っています
05 高齢者のうつ病と向き合う
うつ病も早期治療ができれば回復も早く、治療も短く済みます。高齢者のうつ病のきっかけを見つける方法とは